デビュー当時の佐野元春さんは、
革ジャンでもリーゼントでもなく
黒縁メガネとスーツだって
ロックンロールは出来るんだ、
スリーコードじゃなくって
ボップなサウンドでだって
ロックンロールは表現出来るんだ、
と、10代の僕に教えてくれた。
なのに、僕は、
実際に自分がバンドをやるに当たり
ステレオタイプなロックスタイルに
がっつり囚われた。
コンタクトレンズを入れて
髪を伸ばしパーマをあて
出来るだけ派手な衣装を着て
重たい暗めの音を求め
酒と女に傾いた。
全然、ロックじゃない。
トガってるつもりなだけの
無意味で陳腐な踏襲。
そう気付けるまで
随分と時間が掛かったけれども、
そう気付けるまで
音楽を続けられていて
本当に好かった。
もっと若い時に気付けてたら
もっともっと好かったんだろけど。
でも好いのだ。