友人のライブを見た
その帰路の電車での出来事だ
冬の空に高く光る
冷たいお月さまを背に駅へ急ぎ
到着した電車に乗り込む
空いていた席に座った僕は
次の駅からの刺客のコトなぞ
予想もしていなかった
次の駅で右に
551の蓬莱の紙袋を抱えた女性
その次の駅で左に
餃子の王将の紙袋を座席に置く女性
しまった
囲まれたぞ
♪ 絶望と云う名の地下鉄に アイラブユー ♪
頭の中ではベンジーが唄っている
電車と云う名の密室
温かな匂いに包まれて
僕を乗せた電車は
あと数駅の夜の闇を急ぐ
そんな冬の夜