数年前までライブバーをやっていた、
と云う男がこんな話を聞かせてくれた。
平日のバー営業日に
こんなお客さんがいたそうだ。
「僕等の若い時代の音楽はね、
タクロー、とか、ヨースイ、
ホント天才ばっかりで、
僕が自分で作った歌なんか
とても世間に通用しない、
って僕は音楽は諦めたんです。」
と、語り始める中高年男性。
『日本のフォーク』
の黎明期をリアルタイムで
体験された世代の方らしい。
語りは続く。
せやけど、
タクロー、とかが
相手やったら当然ムリやけど、
最近の、今の流行りの、
いきものがかり、とか、
ワケわからん唄が流行ってるやんか、
こんなん売れるんやったら
オレの書いた唄でもまだイケるわ、
勝負出来るわ、って、思って、
最近、又、ギター引っ張り出して
唄い始めましてん。
と、彼は、ハニカミ乍ら(ホンマか?)
オリジナル楽曲を披露したと云う。
いや、
歌うのは全く完全に自由やけど、
全然、勝負にはならへんよ、
とは、店主は云えなかったそうだ。