Tiny Garden の楽々人生

谷川和久が綴る 時系列を全く無視した 雑記(not 日記)の倉庫

悲しきレィディオ

※2007/8/18更新の記事より
 
中学生だか?の時に
ステレオを親に買って貰った。
間違いなく高価だったはずだ。
 
僕と両親は
確か30才強位の年齢差なので、
彼等が、今の僕より少しだけ年上、
40才前半位の頃のはずだ。
(※実際には丁度30歳違いであった※)
 
当時の父は
地方銀行の支店長代理で
4人家族の主。
 
今の僕、
時給¥820-の契約社員で独り身。
(しかも、半年前迄、低級遊民)
 
すげーな、父。
当時から住んでる今の実家だって、
土地は借地だが、家は自宅だ。
 
しかも、
ステレオなんてそんな高価な物を
買い与えた途端に、
息子は反抗期、と来た日にゃ、
悲し過ぎるよ。
 
ごめんなさい、
ありがとうございました、父。
 
あの頃、とっくにハゲ散らかして、
充分に中年のおっさんに見えたけど、
立派な大人だったのだ。
 
あのステレオで、
イロんな音楽に触れて、
おかげ様で、
僕はこんな大人になりました。
 
エアチェック、って言葉、
まだ使われているのかな?
夕方18時の国営FMのローカル番組で、
月・水・金曜はD.J.がいて曲をかけて、
火・木曜は硬いアナウンサーが
新譜のアルバムまるまる流す、
ってプログラムがあって、
ナイロンカーテン、とか、
吉田美奈子さん、とか、
イロイロ、キャッチしたもんさ。
リスナープレゼントで、
ふきのとうのコンサートチケットが
当たったりもした。
 
そして、忘れちゃいけない、
モトハル・レィディオ・ショー、は、
今にして思えば、まるで、
ロックンロールの学校だった。
 
ありがとうございました、父。
 
さて、
姉から携帯電話にメールが入った。  
父の近況。
癌は、取り敢えず、
進行は止まったままらしいが、
最近の検査で、脳の血管二ヶ所に
詰まってるトコが見つかったそうだ。
例によって、思いの外に
病気には打たれ弱い父のようなので
電話の一本入れてやってくれ、と。
 
はい、
電話の一本くらいなら僕にも出来る。
 
同じ年だった頃の父とは違い、
子供ドコロか自分の為にさえ
大して何にも買ってあげられない、
その日暮らし、ヒグラシカナカナ、
な僕は、それでも、それなりに、
楽しい。
 
猫がいて、僕がいて、
音楽があって、言葉があって、
時々、誰かと分かち合える瞬間もあって、
人生は美しい。
 
冬の準備はいいの?キリギリスくん?
と、アリさんが云う。
 
日曜日には選挙に行こう。

選挙