雑居ビルの一室でバーをやっている。
或る日の深夜、
店を閉めて帰ろうとドアを開けると、
ビルの廊下、うちの店と隣の店の間に、
上半身はワイシャツ、下半身は裸、
と云う姿の男性が、横たわっていた。
辿り着くといつもソコには川が横たわっていた、
そんなうたを唄ったのは、
はて、ブルーススプリングスティーンだったか?
そんなコトはどーでもいいが。
ズボンとパンツも遠からず落ちている。
隣りのガールズバーででも呑み過ぎたのか?
裸の下半身は、
見えなさそうで、見える、と云う、チラリズム。
そんなサービスはいらん。
「お兄ちゃん、だいじょーぶ?」
オトコは目を開けてこちらを見たが、
さりとて、応えはない。
「とりあえず、服着なはれ。」
と云うと、ズボンを手繰り寄せている。
「いや、ズボンより先にパンツ穿こか。
パンツ、な、こっちが先やな。」
その間はむしろ丸出しだ。
かなわんなぁ。
うちのお客さんがはけた後の時間帯で良かった。
ひとまず服さえ着てくれれば、
まぁいいや。
お先に失礼。