「いちげんさん」を拒むような佇まいの雑居ビル、
その6階でバーを始めて2年弱のある日、
その「いちげんさん」と思しき男性は入って来た。
いきなり、自らの顔を指差し、
「わかる?」と訊く男。
わからない、と、正直に答える。
長崎から、会社の慰安旅行で、
関西に来たついでに立ち寄ってくれた、
高等学校時代の同級生であった。
そりゃ、わからんでしょ。
過去の記憶が極端に脱落している僕でも、
彼とクラッシックギター部で一緒だったコト、
彼が部活ではウッドベースを弾いていたコト、
程度のコトは覚えている。
それらに纏わる具体的なエピソードが、
全くこれっぽっちも出て来ないだけだ。
昔の印象は、
ひょろりと細長くて少しだけ猫背の、
実際にも優しいヤサオトコ、
って感じだったのだが、
現在の彼は、
優しい柔和な雰囲気はそのままに、
何と云うか、どんと肝の据わった、
貫禄のある、頼り甲斐のある大丈夫、
と云う印象で、
なるほど、そりゃわからんわ、
も、やむなしである。
いい年齢の重ね方をして来たのだろうなー。
土産は、携帯電話用のストラップが4つ。
今時、ストラップ付けへんし、
しかも4つもいらんやろ。
完全にやっつけ丸出しやないかい。
そげんやけんが結婚出来んとさ。(笑)
そして、ラジオは、
知ったかぶりの(?)、
♪ Sunday Bloody Sunday